導入から約2年。「Save Point」がアニメ制作にもたらした効率化とクオリティアップ

導入から約2年。「Save Point」がアニメ制作にもたらした効率化とクオリティアップ

株式会社セイバープロジェクト
3DCGディレクター
菅 友彦 様

導入から約2年。「Save Point」がアニメ制作にもたらした効率化とクオリティアップ

株式会社セイバープロジェクト

「Save Point for アニメ」を約1年前からご利用いただいているセイバープロジェクト様。導入後から約2年経過した今、セイバープロジェクト様の制作現場における「Save Point for アニメ」の活用状況や影響をお尋ねしました。

「CGと手描きアニメの現場をつなぎ、3DCGディレクターとして作品の取りまとめを行っています」


インタビュワー:
菅様の普段のお仕事について教えてください。

菅:
3DCGディレクターとして作品の取りまとめを行っています。主な業務は3DCG制作スタッフの手がけたカットのチェックや展開、予算管理などですが、自分でカットを担当することもあります。
また、案件の受注の判断や打ち合わせへの参加、スタッフのアテンドとチームビルディングなど、プロデューサー的な役割も兼ねています。

インタビュワー:
セイバープロジェクト様はアニメ監督のねぎしひろし様が代表取締役を務め、グループ企業には手描きのアニメ制作スタジオ(ゼロジー)もあります。グループ内で連携することも多いと思いますが、御社では現在フル3DCG作品と手描きアニメとのハイブリッドの作品、どちらを多く手がけられていますか?

菅:
ハイブリッド作品の方が多いですね。フル3DCG作品ですと作品全体ではなく1部の話数だけを担当させていただくことが多いです。
あと、最近増えてきたのは3Dレイアウトを担当するケースです。アニメの制作工程において、キャラクターの向きや立ち位置、画面内に何があってそれがどう地面に接地しているのか、それをどのアングルからどう捉えるのかといった画面構成を設計する工程をレイアウトというのですが、3DCGを用いてそれを設計するのが3Dレイアウトの業務です。

インタビュワー:
3Dレイアウトを担当されるのは御社内の作品ですか?

菅:
他社様の作品が多いですね。絵コンテが上がった段階でミーティングに参加させていただき、「このコンテからレイアウトを切ってください」とご依頼いただくわけですが、その後の社内外でのやり取りなどでも Save Point を活用しています。

  • 課題
    • - 大量のタスク管理
    • - 優れたアイデアやひらめきが制作過程の中で埋もれることがあった
    • - ミーティングや電話での業務確認
  • 効果
    • - フィルタ機能による一括管理で業務効率化
    • - 履歴からも制作物を選べるようになりクオリティアップ
    • - 社内外の業務確認をSave Point に一元化

「フィルタ機能のバージョンアップでタスクの状況が直感的に把握できるようになり、使用してくれるスタッフが増えました」

インタビュワー:
セイバープロジェクト様では2020年春頃に Save Point を導入され、同年秋頃に一度 Save Point の使用感についてインタビューをさせていただいていました※1。それからさらに1年が経過したのですが、Save Point を介した制作環境はどのように変化しましたか?

菅:
一番大きく変わったのは Save Point でカバーする作業工程が拡大したことです。
これまでは3DCGスタッフが中心にSave Pointを使用しており、監督や制作進行などそれ以外の方々にはアクセス権限を付与しても、あくまでも「よかったら使ってみてくださいね」というスタンスでした。現在はグループ企業や提携企業の方にもアクセスしていただき、Save Point でデータのやり取りやバックアップを行う体制になりつつあります。
特に設定やアセットモデリングといった制作の上流工程と、3DCGによる制作とは相性がよく、スムーズに使っていただけている印象です。

インタビュワー:
この1年で Save Point の利用が拡大した最大の要因は何なのでしょう?

菅:
一番の要因はバージョンアップでタスクのフィルタ機能が強化され、タスク管理がしやすくなったことです。
3DCGでのアニメ制作の場合、個々のクリエイターが自分のカットを担当し、私(ディレクター)が各カットの仕上がりや進捗状況を管理します。一方手描きアニメの場合、その役割を担っているのは制作さん(制作進行)です。そのため制作さんに Save Point を使いこなしていただく必要があるのですが、一人で1話分数百カットを管理するとなると、タスクが画面に収まりきらないくらい表示されることになってしまします。そのため「見づらい」「どこにどのタスクがあるのか分からない」という声が上がっていました。

しかし、最近のバージョンアップでフィルタ機能が強化されましたよね? 新フィルタ機能によって関係ないタスクを非表示にできるようになったので、確認したいタスクを表示するまでのハードルが一気に下がりました。また、ステータスの変化にあわせてタスクが非表示になる機能も追加されたので、タスクが自分の手を離れたら非表示になって画面から消える。つまりリストから全てのタスクが消えたら今日の仕事は終わり、と、仕事の状況がかなり直感的に把握できるようになりました。管理する側にとっては、ソート機能の強化により行方不明になっていたカットが見つけやすくなり、履歴が残るので進捗が止まっていた原因も特定しやすくなりました。そういった機能の改善に伴って、制作さんなども徐々に使用してくださるようになっていった印象です。

現在、グループ企業であるゼロジーさんで手がけている1作品と弊社で進行中の4作品で Save Point を使用しています。弊社の場合、他社さんの作品の3DCGパートを担当しているのですが、レイアウトだけでなく完成したカット素材を制作さんが Save Point を介して演出さんや監督に共有する、という流れができつつあります。
今後、タスクの表示と非表示を一括で切り替えたり、一括ダウンロードができるようになるなど、更なるバージョンアップによって、アニメの制作現場でもより使用してくれる人が増えるのではと思います。

  • 注)画像左: 制作物に対し、実際にステータスでフィルタをかけようとしている様子。
      画像右:ブラウザ上で直接フィードバックする機能のサンプルイメージ。

「監督がイメージする映像に仕上がるまでの効率が上がった」

インタビュワー:
Save Point をタスク管理やデータの受け渡しの面で有効にご活用いただいている印象ですが、他の面でも効果的だったことはありますか?

菅:
そのファイルの中身が何なのか、参照のしやすさには助かっています。画像や映像をブラウザ上でプレビューできるので、データの受け渡しや確認がスムーズですね。
Save Point では画像や映像データに直接文字を描きこんだり線を引いたりすることができるので、リテイク指示も具体的に伝えやすくなりました。この機能もバージョンアップで強化されて、フリーハンドの線だけでなく直線を引いたり回転させたりできるようになったのも嬉しかったですね。パース線やアイレベルなどのフィードバックがとてもやりやすくなりました。

実際の業務で使っている印象としては、カット単位のやり取りや業務には非常に適している印象です。たしかに、前述の通り、プロジェクトを見渡すのに使うには少しコツが必要だとかありますが、そこは今後のバージョンアップにも期待したいですね。
あと、Save Point には制作が進むにつれて様々なデータがアップロードされていきますので、結果的にデータサーバーのようにもなっています。

様々な投稿や制作物を一覧できるスレッドビューの様子

  • ※様々な投稿や制作物を一覧できるスレッドビューの様子。


インタビュワー:
制作に関わる全てのデータや、それらのデータのやり取りやチェック内容などの履歴が残る形になりますね。

菅:
そうです。まさに履歴が残るという点が重要です。通常の工程の場合、監督は各カットの完成データだけを確認するのですが、Save Point ではそこに至るまでの制作過程が全て残っているため、監督がそれら過程のデータも見ることができるんですね。
たとえば、僕がチェックして直したカットよりも前のカットの方が監督のイメージに近かった、ということもあり得ます。そのため最近は「菅さん、申し訳ないんだけど、テイク1の方を使ってもいいかな……?」と言われることも出てくるようになりました(笑)。実際、現在手がけている作品ではいくつかのカットは上述のような経緯で前のテイクを使用しています。

インタビュワー:
これまで埋もれていたものにも目が向けられるようになったわけですね。

菅:
そうです。他にも、僕が判断に迷ったカットを状況ごと全て監督に見てもらう、ということもし易くなりました。結果的に、より監督がイメージする映像に仕上がるまでの作業効率が上がったと言えるのではないでしょうか。このように、Save Point は監督がデジタルに強い現場と特に相性がいいように感じます。


「Save Pointの導入で、自分のペースで作業がしやすくなった」



インタビュワー:
コロナ禍を経たこの1年で、制作環境はどう変化しましたか?

菅:
徐々にコロナ前に戻りつつあります。緊急事態宣言も明けて、弊社でもスタッフの半分はスタジオに出社するスタイルに戻りました。
ただ、以前は出社後に顔を突き合わせてミーティングやリテイク指示などをする時間を設けていたのですが、今はどのアニメーターも出社したらまず Save Point を開いて自分の業務をチェックするというスタイルになったので、そういったミーティングはしなくなりました。ブラウザには常にSave Point が表示されていて、それを参照しながら作業をするスタイルが定着しつつあります。
社外の取引先の方々も、必要最低限のミーティング以外は全てSave Point を見てそれぞれ作業に当たるという流れになっています。


インタビュワー:
テレワークの方も含めて、社内外の業務スタイルが Save Point で一元化しているのですね。

菅:
はい。以前はテレワークの方には電話で指示をしたりしていたのですが、Save Point 導入後は指示もすべて Save Point 上で確認できるようになったので、より自分のペースで作業がしやすくなったのではと思います。また、通常の在宅勤務だと他の方の制作物を見ることができず、クオリティラインをイメージしづらいという問題がありました。Save Point では、アカウントの設定にもよりますが、プロジェクトに参加している全員が全てのカットを見られるため、在宅・スタジオ・協力会社の方も含めて全体のクオリティを確認しやすくなったというメリットもあります。
前回のインタビューでもお伝えした通り、弊社はコロナ禍前から業務効率化を目的としてSave Point の導入を検討していて、たまたまタイミング的にコロナ禍とぶつかってしまった形でした。テレワークの増加など予定外のこともありましたが、Save Point の導入による業務効率化は、当初のイメージ通り達成できつつあるように思います。


インタビュワー:
それでは最後に、これからもアニメ制作現場で Save Point を使い続けるにあたって、よりバージョンアップしてもらいたい点などをお教えください。

菅:
やはり一括ダウンロードやExcelへの一括書き出しなど、一括管理に関わる機能をより拡充していただけると嬉しいですね。また、プロジェクト全体の進捗状況を円グラフやゲージなどでビジュアル化する機能の実装を検討中と伺っています。今は個々に計算してパーセンテージを出しているので、その機能は心待ちにしています(笑)。
ファイルの表示周りについては、画像などを表示する際に拡大縮小できる機能が追加されました。これはこれで便利なのですが、できれば初回展開時にウインドウサイズにあわせて最大で表示してくれる機能があると、より視認性が高まっていいなと思います。
また、設定資料などを参照したい場合、設定資料のタスクを探して移動してファイルを指定して……というのは手間なので、特定のタスク内のファイルを指定してリンクして、ボタンを押したら画像がパッと表示されるような機能ができると、より便利に使えるのではと思います。

インタビュワー:
現在 Save Point を使っていただいている方にとってもまだまだ便利になる可能性がありそうですね。アニメ制作現場の中でもまだ Save Point を使っていない方に向けた改善という意味ではどういったことが考えられるでしょうか?

菅:
美術さんや仕上げさん、撮影さんなど、プリプロや3DCGなどとは違った現場にはそれぞれ独自の工程や工法があるので、より各現場に適した仕様にしたり機能を追加していただけるといいのではと思います。いつか全てが1つの Save Point で一貫して作業を行えるようになると素晴らしいのですが、その過程においては美術さん用の Save Point、撮影さん用の Save Point があってもいいのかもしれません。
また、カバーできる工程が増えるにしたがってサーバー容量の問題も出てくると思いますので、そういった面での強化も必要になるでしょう。

インタビュワー:
ありがとうございました。今後もよりアニメ制作の現場に適したバージョンアップを行っていく予定ですので、ぜひご期待ください。








株式会社セイバープロジェクト


株式会社セイバープロジェクト

ねぎしひろし監督による オリジナルアニメ企画制作営業会社。 企画やスキームの構築を行う。






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